妊娠初期(妊娠15週まで)
妊娠初期に出血があった時には妊娠に関連した出血と妊娠とは関連のない出血がありますが、区別することは困難です。
小量(下着にわずかに血液がつく程度)でお腹が痛くなければ、また安静にして出血が止まればあわてて診察をうける必要はありません。(妊娠中は流産の治療の基本は安静です。)
出血が続く、赤色の出血(新しい出血)、お腹が痛いときは診察が必要です。
(1)妊娠に関連した出血 | |
妊娠初期の出血で心配なものは流産と切迫流産です。 流産と切迫流産は大きなちがいがあります。流産は妊娠を継続することは不可能ですが、切迫流産は流産しかかっている状態で経過がよければ妊娠の継続は可能です。 | |
(2)妊娠に関連しない出血 | |
子宮膣部ビラン、子宮頚管ポリープ、痔、膀胱炎や尿路結石で血尿があると膣からの出血を区別がつかないことがあります。 |
妊娠中期(妊娠16週~27週まで)
妊娠中期にも初期と同じように 痔、膀胱炎、子宮膣部ビランや子宮頚管ポリープ など妊娠とは直接関係のないものもあります。
妊娠に関連した出血で最も多いのは切迫流産と切迫早産です。切迫流早産は適切な治療を受けないと流産や早産にいたるため注意が必要です。
前置胎盤、破水、常位胎盤早期剥離等でも出血を認めることがあります。
ほんの小量(下着にわずかに血液はつく程度)でお腹が痛くなければ、また安静にして出血が止まればあわてて診察をうける必要はありません。(妊娠中は流産早産の治療の基本は安静です。)
出血が続く、赤色の出血(新しい出血)、お腹が痛いときは診察が必要です。
妊娠後期(妊娠28週以降)
妊娠中期とおなじ
妊娠初期(妊娠15週まで)
妊娠初期の下腹痛にはどこが痛いかによって原因が異なります。
特に病気でなくても腹痛はおこることがあります。便秘、子宮の成長痛や靭帯のつれなどです。
便秘………… | 妊娠すると普段より便秘気味になります。特に左の下腹痛の時は原因として考えられます。 |
成長痛……… | 赤ちゃんの成長に従って子宮が急に大きくなるためにおこります。 |
靭帯のつれ… | 子宮は靭帯というすじで骨盤につられています。体をひねったり、立ち上がった時に靭帯が引っ張られて痛みを感じることがあります |
いずれも痛みに敏感な人は腹痛と感じることがありますが、病気ではありません。
心配なものは子宮や卵巣に関連する痛みです。
(1) | 子宮に関連するもの 流産・切迫流産・子宮筋腫・子宮腺筋症(子宮内膜症)を合併した妊娠 |
(2) | 付属器に関連するもの 卵巣腫瘍を合併した妊娠 |
(3) | 消化器(胃腸)に関連するもの 便秘・胃腸炎 |
(4) | 泌尿器に関連するもの(膀胱炎、尿路結石) |
妊娠中期(妊娠16週~27週まで)
妊娠初期と同じですが新たに切迫早産、常位胎盤早期剥離が問題となります。
妊娠中期になると腹壁を介して子宮を触れることができます。たとえ、痛いと感じなくても拳を布団や毛布の上からふれたように感ずるときは子宮は収縮しています。
(1) | 子宮に関連するもの 早産・切迫早産・常位胎盤早期剥離・子宮筋腫・子宮腺筋症(子内膜症)と合併した妊娠 |
(2) | 付属器に関連するもの 卵巣腫瘍を合併した妊娠 |
(3) | 消化器(胃腸)に関連するもの 便秘・胃腸炎 |
(4) | 泌尿器の病気に関するもの(膀胱炎、尿路結石) |
妊娠後期
妊娠中期と同じ。 新たに前駆陣痛もあります。
元々、女性の膣は無菌状態ではありません。膣にはデーデルライン乳酸菌桿菌(善玉箘)がいて、膣内を弱酸性に保って他の悪玉菌の繁殖を防いでいます。これを膣の自浄作用といいます。体調悪化、生理(月経)周期・妊娠によるホルモンバランスの変化や抗生物質など服薬の影響でこの膣の自浄作用が低下すると腟炎や子宮頸管炎になります。
腸内細菌(乳酸菌)に個人差があり、腸の強い人、弱い人がありように膣乳酸菌にも個人差があり、腟炎になりにくい人、なりやすい人があります。
妊娠するとおりものは自然に増えていきます。特に妊娠後期は子宮口の熟化に伴っておりものは増加します。以下の症状がある時は要注意です。
● | 異常に多い 腟炎の症状です。腟炎には細菌性腟症(炎)、カンジダ腟炎、トリコモナス腟炎等があります。 また、クラミジアや淋菌による子宮頚管炎などがあります。また、破水していてもその流出が少ないとおりものが多い程度のこともあり、注意が必要です。 |
● | 水溶性(水っぽい) トリコモナス腟炎、破水 |
● | チーズ様 カンジダ腟炎 |
● | 色がついている 黄色~緑色(汚い) カンジダ腟炎、細菌性腟症(炎)、トリコモナス腟炎 |
● | 茶色 陳旧性(古い出血) |
● | 匂いが気になる(生臭い) 細菌性腟症(炎)、トリコモナス腟炎 |
● | その他 GBS、淋菌 |